芝生の夏越えは水やりを増やしてはいけない3つの理由

夏の芝生には毎日水やりの危険度

寒地芝生を関東で植えている人にとって、連日40度近い日が続く関東の酷暑は、悩み多き季節です。25 度以上になると枯れ始める寒地芝が、関東の夏の暑さに耐える事が出来ないからです。

「芝生を夏の暑さから守る為の最大の防御は水やりだ」

そう思っている方も多いかと思います。確かに水やりは芝生管理においてとても大切な管理の一つですが、だからといって、毎日水やりをしてしまうと、逆に芝生を枯らせてしまう可能性がある事をご存知でしょうか?

 

芝生の夏の水やりの量を押さえる理由

人間も、真夏に暑いからと言って朝から大量の水分を飲まされたら、身体に害がある事は想像に難くありません。適正な体温を維持する為に、水だけでなく、木陰に入るとか、快適な温度の部屋に行くことも必要でしょう。人間の基準が適正体温だとすると、芝生の場合は土壌の構成比がそれにあたります。

理想の三相分布に近づける必要があるから

作物の土壌にとって、良い状態の土と言う物が既に定義つけられています。それを、土壌の三相分布といいます。

土や砂の相 土相 50%
水分    液相 25%
空気    気相 25%

水をあげすぎると25%以上の水分が土の中に入り、芝生にとっては湿り過ぎ状態になってしまいます。すると、芝生は根腐れ等をはじめとした病気の温床となる可能性があります。逆に、水分が1㎡あたり10%を切ってくると、ドライスポットの原因となります。

なので、芝生の1㎡あたりの水分量は、25ℓから10ℓの間で管理する事が望ましいと言う事です。

地温をコントロールする必要があるから

三相分布だけではまだ説明が足りません。次は気温と地温の違いです。

寒地芝は20度が一番成長する温度というのは有名な話ですが、実はこれ、気温20度の話ではないんです。地温の話なんです。寒地芝を関東で夏超えさせる為には、気温のコントロールではなく。地温のコントロールが求められています。

気温が高い時、日陰を人工的に作ったりすれば若干温度を下げる事が出来るでしょう。しかし関東の夏では、気休め程度にしかなりません。

では、地温を下げる事は出来るのでしょうか?もちろん、気温38度日に日中の地温を20度以下に下げる事は難しいでしょう。しかし、日が沈んだ後、夜にかけて出来るだけ早く地温を下げる事が出来れば、夏超えの可能性が高くなってきます。出来る限り早く、日が沈んだら地温を下げる。その為に、空気と水の性質の違いを利用するのです。

空気と水の性質を理解して水やり量を調整する必要があるから

空気と水の暖まりやすさ、さめやすさを示す指標があります。比熱と言います。

バーナーで10秒鉄を熱すると、鉄は少し熱くなっている事でしょう。一方で、水ををバーナーで同じ時間熱しても、鉄ほど熱くはなりません。これを数値で示したのが比熱です。熱しやすく冷めやすいを数値化した物とお考えください。空気と水を比熱数値で表すと、空気が1に対して水が4。空気は水の4倍速く温度が上がり、4倍速く冷めます。

地中に水が過剰にあると、最初は水のままですが、だんだん温度が上昇し、日が沈んでも炎天下の熱を地中に抱え込んでしまうのです。空気は暖められやすい一方、日が沈めばすぐに温度が下がって行きます。

夏の朝に寒地芝に対して水をまく行為は、午前中の地温を下げるのには効果的ですが、夜の地熱を下げると言う意味では逆効果で、空気が多ければ多いほど、夜の地熱は下がりやすいと言う事になります。

夏の水やりを増やしては行けない理由をまとめますと

  • 水をあげすぎると土壌の三相分布のバランスが崩れ、空気の相まで水が入り込んでしまう為。
  • 比熱の関係で、水は炎天下の熱を地中で取り込んでしまう為。

寒地芝の夏超え対策で、毎朝大量に散水すると言う事は、絶対にしてはいけない行為なのです。

寒地芝 夏超えのための水やりの方法

土壌の三相分布では、水分は最大でも25%になるように調整する必要があります。とは言え乾燥のし過ぎも禁物。水分が10%を切ると、ドライスポットの原因となります。(茶色く枯れる現象)10%の根拠は、ドライスポット部分の水分量を計った結果より。

正しい水やりの方法

  • 地中の水分を正しく計測
  • 25%になるように水をあげ、10%に近づくまで水やりをしない。
  • 12%前後になったら、再び25%になるまで水やり

これを実現する為には、土壌水分量を正確に把握しておく必要があります。メーカーの方と相談してこれなら大丈夫と思った土壌水分計がこちらです。安い水分計は%表示ではなく、10段階表示や3段階表示で、肝心の○○%が分かりません。それに、すぐ壊れますのでお勧めしません。

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地温計は、最近PHもはかれる等多機能になっていますが、多機能は壊れやすさの原因となりますので、シンプルな設計がおすすめです。

真夏に毎日水を与えないと言うのは非常に勇気のいる事ですが、関東で寒地芝を植えると言う難しい事をしている以上、しっかりと学んで信念を持って取り組みたい物です。

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